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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
冬休み前 編
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第69巻

第79章 冬休み直前


後1週間で冬休みという時になり、教室の中も、部活をしている時も、冬休みに何をするかを話し合っていたりしていた。

もちろん、宿題も出されるのだが、そのようなものは頭の片隅から外へと放り出すことにしているようだ。

そんな中、料理部では今年最後の部活をしていた。


今回はチャーハンを作っていたようで、フライパンの中には、あと半人分ぐらいしか残っていなかった。

もちろん、幌が作ったものを琴子が食べているのである。

ほかの先輩も作っているのだが、さっさと自分の分を食べつくしてから幌のほうをつついていた。

「やっぱ、井野嶽がつくったやつが最高だな」

部長がそう評するが、誰もがそれを認めていた。

なぜか、料理部とは関係ない公安部もこの部室にいたが、それは幌の料理を食べに来たわけではなく、ただ単に遊びに来ただけだと言い張っていた。

誰の目から見ても、幌の料理を食べに来たことは明白だったが、誰も何も言わないことに決めていた。

「さて、そんなことよりも、だ」

公安部部長、東丸が皿とスプーンをシンクの中に置いてから、そろっていた公安部部員に言い切る。

「今学期をもって、すべての部活動の部長は書類上引退することになる。その後を引き継ぐのは、上級生優先となっていることから、荒田が務めることになる。これから、この学校は激動の時代にはいるが、よろしく頼む」

深々と礼をして、東丸が見ているのはこれからの公安部、ひいては学校全体の行く末だろう。

だが、この時点で現実として見ているのは、次期部長として、すでに動き出している荒田卿弥だった。

「来年、新しい公安部部員と情報部部員が来るだろう。だが、その子たちに対しても、優しく接してあげてほしい。右も左もわからないような子たちだからな。もちろん、公安部の主活動である、校内の治安維持というのも忘れてはいけない」

「分かってます、先輩」

決意漲る目つきで、東丸を見つめている。

手には、幌が作っていたチャーハンをすくっていたスプーン。

皿の中には、大方食べつくしたチャーハンがあった。

そんな中、一人、黙々と食べ進めているのは公安部1年生にして、公安部の紅一点である氷ノ山だ。

何を思っているのか、ただひたすらチャーハンを食べ進めていた。


「ごちそうさまでした」

そのまま、食べ終わると、手を合わせて一礼してから、シンクへ皿を入れ洗いはじめる。

「あ、置いといてくれたら俺らが洗うよ」

「洗うんは、幌だけやろー?」

「それは、琴子が洗うのを放棄しているだけだろ。それで代わりに洗ってやってるんだよ」

「へー、そーなんかー?」

なんだから、心の中を見透かしているような眼で、琴子が幌をじろじろなめまわす。

結局、それからは、みんな仲良く食器を洗うことで落ち着いた。


幌が家に帰ると、桜が自室から出てきた。

「おかえり~、手紙来てたよー」

「誰から」

「しらなーい」

リビングにある机の上を見ると、封をされて放置されている手紙が置いてあった。

「なんだ、こいつからか」

「誰よその人」

桜が机に置いてある椅子に腰かけながら聞いてみる。

「俺の小学校の時の友達さ。長年会ってはなかったけど、手紙だけはやり続けてたんだよ」

カバンをソファーに放り出し、手紙を開けた。

「ああ、正月が終わってから家に遊びに来ないかだと」

「いいじゃないの。私もいこーかな」

「本人に聞いてみないことには何ともだな。多分大丈夫だろうけど」

封筒の中には、復信用の手紙が入っていて、そこに書けるようになっていた。

「じゃ、とりあえず行くっていうことで」

幌は、手紙の裏面に桜のことや、とりあえず今のところはいけるということを書いて、近くのポストに入れに出ていった。

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