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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
冬休み前 編
68/688

第68巻

第78章 冬休み前


それからは、あっという間に日にちはたった。

12月も中ごろになり、冬休みどうするかということが話題にもよく昇るようになってきた。

特に、正月の里帰りについてが多い。


桜の教室でも、その話題が出てきていた。

「え、正月ですか?」

鈴に聴いているのは、氷ノ山だった。

「そうよ、何か行くっていうことしないのかっていうことでね」

「お正月なんやし、いつもとちゃうこともしたいっておもーてな」

琴子も氷ノ山の横で、何かのパンフレットを振り回していた。

「もしも、あんさんがええんやったら、ここにいこかゆーててな」

「伊豆の方ですか。ここからでしたら、かなり遠いと思いますよ。お金もそれなりにかかりますし……」

「そや、そこであんさんの登場っつーことや」

「…私の財布の紐は固いですよ」

わざと驚いたふりをする琴子。

「なんや、気づいとったんかい」

「当然だと思いますが。学生食堂でも、たかりに来たではないですか。他にも、近くのコンビニエンスストアで、たかが200円ほどのペットボトルを買うだけで、わたくしにお金を出してほしいといってましたね」

「それはそれ、これはこれや。まあ、あんさんは正月にどこか旅行する話でもあるんやろうなと思っとたがな」

「ありますよ」

琴子の言葉に、あっさりと言い返す。

「今年は、ニースにいる伯母の家に泊まる予定です」

「ニースってどこや」

「……ご自分でお調べください」

きょとんとしながら聞いてくる琴子にさらに言葉を続ける。

「蛇足ですが、伯母が結婚した先は、子爵家らしく、わたくしも貴族の親戚ということになるそうです」

「どんな世界だよ」

氷ノ山が半ば驚きの顔をして、突っ込む。

「何の話してるの?」

その時、桜がカバンを置いて彼女たちのところへ歩み寄った。

「お正月にどこか遊びに行かないかというお話です」

「私は、叔母の家に遊びに行こうかって思ってるけど?」

「どこにあるの?」

桜の話に、即刻、氷ノ山が食いついてくる。

「伊勢にいるよ。とはいってもおととしに引っ越したばかりだけどね」

「伊勢神宮があるところだよね」

氷ノ山が桜に聞いてくる。

「そうだよ、毎年正月とお盆のころに行くの」

「お伊勢さんに行くっていうのもいいわね~」

どこから聞いていたかわからないが、桜の左斜め前の一つ教卓側に座っている篠井が、椅子を持ってきて桜のすぐ横に座る。

「んー…向こうの人たちに聞いてみないとわからないけど、どうだろう。私はみんなでワイワイ行くのもいいと思うけどね」

「もちろん、幌も来ることになるやんね」

桜に迫るのは、琴子だ。

「えぁ?ああ、その予定だよ」

その迫力に負けるように、桜は吐く息と同時に絞り出すような声を出した。

伊勢に行くことが決まりかけた時、担任の先生が入ってきて、話は途中で終わった。

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