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第657巻
食べ終わり、食器も片付け終わると、いよいよお開きということになる。
「片づけはしっかりとな。立つ鳥跡を濁さずっていうし」
琴子は、片手にタオルを持ち、空いている片手で洗った食器を幌から受け取り、拭いて机の上に置いていた。
「せやな」
幌からの言葉に琴子が返事をしながら、カタンと寂し気な音を食器はたてる。
「先輩、これで最後ですね」
沢入が幌と琴子に聞いた。
「ああ、最後だよ」
机の上にあった皿は、気づけば後輩らが手分けしてそれぞれの棚へと仕舞ったようだ。
すっかりと、何もなくなった机の上は、いつもと同じ大きさのはずなのに、何やら大きく見えた。