656/688
第656巻
幌がいただきますと言い終わるよりも先に、皿が置かれた途端に琴子は食べ始めていた。
「やっぱし、アレやな。幌が作るのが誰よりも美味いな」
琴子の言葉に、後輩一同にさらには顧問の先生までも一斉にうなづく。
「食べれなくなるのが残念だな」
顧問が幌に言った。
「たまには顔を出しますよ。大学も実家通学になりますから」
「是非ともきてください。それで、また、美味しいものを作っていただきたいと思います」
部長が食い気味に言うのを見て、幌はたまにはとだけ答えた。