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第655巻
パンケーキは、幌にとっては朝飯前のものだった。
ひょいひょいと一人1枚分を作り上げ、さらには、置いてあった調味料を使って、カラメルソースまで作った。
「本当はメープルシロップのほうがいいんだろうけどね。これでも十分に美味しいと思うよ」
幌は、最後の2皿を、琴子の前と自分の前に置く。
それから、身に付けていたエプロンを脱ぎ、椅子へと座った。
「いただきます」
熱いものは、熱いうちに食べる。
一番いい食べごろを逃すことはできない。
それが幌の信条で、琴子はごく当然のように受け入れていた。