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第647巻
「起立っ」
最後ともなれば、委員長も気合が入っている。
長いようで短い、そんな3年間だった。
ガタガタと椅子が引かれ、各々が立ち上がる。
スピードも、頭脳も、何もかもがそれぞれバラバラだった。
だが、それでも一つになれた。
「気をつけ」
果たしてこれからはどうなるのか。
不安は恐怖へと変わりそうになる。
だが、彼らの胸の内は、とても明るいものだった。
何も怖いものはない、というわけではない。
その怖いものを乗り越える勇気は、彼ら一人一人に備わっていた。
だから、ここまで来れた。
「礼っ」
最後だ、そう思うと誰かの目には涙が溜まっている。
だら、零れようとも拭おうとはしない。
これは別れではない、再開を喜ぶためのものなのだから。
「ありがとうございましたっ」
晴れ渡る青空、声はとてもよく響き渡った。