第646巻
「みんな、卒業おめでとう」
担任の挨拶は、そんな平凡な出だしから始まった。
「ここまで来れたこと、とても嬉しく思う。入学から今まで、いろんなことがあった。いろんな行事を通して、いろんな出会いがあったと思う。その一つ一つが、君らのこれからの人生を彩ってくれることだろう。そしてずっとずっと後、もしかしたら、社会人になってから、もしかしたら定年を迎えてから。さらにもしかしたら、それは死ぬ間際になるかもしれない。でも、君らがこの高校で学んだこの3年間を振り返る時が必ずやってくる。その時、あの時は楽しかった、嬉しかった、良かったと思える瞬間だったら、先生として嬉しい。これからの人生はとても長い。君らは今、ようやく始まったばかりだと言っても過言じゃないだろう。だから、これだけは忘れないでいてほしい。ここでの体験、学習、記憶は、いつでも君らとともにある。いつでも、ここに戻ってきてもいい。ここにいる全員が仲間であり、友人であり、相談相手だ。それを忘れないでほしい。これからの経験、辛いことも、キツイことも、嫌なこともあるだろう。でも、ここの仲間を思い出してほしい。それが心の支えとなって、また生きていくことができるだろう。それが仲間だ」
担任は言いたいことを言ったようだ。
それから委員長へと言う。
「よし、委員長。高校最後のあいさつを」