642/688
第642巻
卒業式なんて、何ともないと思っていた。
少なくとも、幌はそう考えていた。
よくありがちなものだ。
青春も真っ盛り。
何か一つことが起きないかと期待していた3年間。
何か成し遂げることができたと誇るのならば、それは、今生きていることが最大の誇りになるだろう。
そんなことを思いつつも、卒業式は淡々と進んでいく。
式次第はツラツラと書き連ねてあるものの、それがその通りに動いているだけだ。
泣いている人もいる、これからの道に不安を抱いている人もいる。
でも、今は誰もが同じ、卒業生という立場にいた。