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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
大学見学 発表編
64/688

第64巻

第74章 大学見学 ~発表編 回し読み発表~ [4]


桜達と同じ時間帯に、幌たちもまたレポートの発表をしていた。

「さて、すでに知っていると思うが、レポートは既に出来ているよな」

幌の担任である高啓槻が教卓の後ろ、黒板のすぐ前に立って既に提出されたレポートの束を持って立っていた。

「このレポートの中から、クラス1位を決めて、学年会で発表することになっているのは知っていると思う。学年会では、更に詳細なレポートに仕上げてもらう。予定では12月最後の学年会になるから……」

クラス簿をめくりながら、日付を確認する。

「12月の2週目の水曜日、5限目になってるな」

クラス簿を閉じ、教室に居並ぶ男子生徒一同を見回した。

「それと、言い忘れていたが、このときの学年会は女子と合同だからな。なにかあっても責任まではとらんがな」

一瞬で、教室中にあった熱気がクラス一位にはなりたくないという勝負熱に変わった。


「じゃあ、これからレポートと投票用紙を配る。投票は一人1票で、レポートを書いた人の名前を書くこと。自分のが一番だと思う人は、別に自分の名前を書いても構わないが、後でちゃんと学年会で発表できるようなものを作ることが条件だからな」

先生が適当に寄り集まった班に、レポートを投下していく。

一つの束で大体5~6ぐらいはあった。

「これを全部読めっていうことか」

幌が一番上にあったレポートをとると、『東京大学』と書かれたレポートをとっていた。

「だれか、東大に行ったのか」

「オープンキャンパスだけだろ」

ものすごく冷たい声で言ってきたのは、いつの間にか幌のすぐ右隣に座っている誘亥燐(ゆういりん)だった。

「というか、これってお前が書いたものみたいだな。名前が燐って書いてある」

「夏の間に東京に行ってね。そのついでに行っただけさ」

幌が冷やかし半分に言っていることを、ほとんど本気と考えて受け取っているように返す。

「さてさて、読ませてもらいますか」

横目で燐の表情をうかがいながら、幌は一枚ずつめくっていった。


「よっしゃ、じゃあそこまでで」

時計を見るとすでに47分ほどたっていた。

その間にとりあえず全員分のものを読み切った。

班ごとに読み切るたびに、班のだれかがすぐ隣の班へと運んで行ったため、担任はほとんど仕事をしていなかった。

「じゃあ、俺にレポートをまわしてくれ。それと投票用紙も。明日になったら結果を知らせるから」

担任が全部を言い切ると同時に、それぞれの班を巡りながらレポートと一緒に投票用紙も回収した。


放課後、幌が家に帰るとすでに桜が居間の机に突っ伏して寝ていた。

「……姉ちゃん、風邪引くよ」

「スゥ…スゥ……」

完全に寝ているようだが、11月になり肌寒くなってきた家の中でそのまま寝かせ続けているというのも、問題だと思った。

そして幌は、いったん荷物を自室へ全部置いてから、桜の部屋から毛布を取ってきて、居間で寝ている桜の体に優しくかけた。

そこまでしてから、夕食の準備へと向かった。


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