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第631巻
「先に上がってたのかぁ」
桜はこのときには、幌のそばから離れていて、瓶牛乳を自販機から買っていた。
このとき、桜に続いて温泉から上がってきたのは、鈴と琴子だった。
「あれ、まだ男は来てへんの?」
「幌だけ」
桜へと近づいてきている鈴と琴子に、桜が瓶を片手で持ちつつ指さして教える。
「おるぞー」
幌が声だけをあげる。
もうすぐ終わる時間のようだが、ぎりぎりまで楽しみたいようだ。
「マッサージチェアってええんかどうかわからへんなぁ」
琴子がひょいと幌をのぞき込みつつそんなことをつぶやいた。