第63巻
第73章 大学見学 〜発表編 回し読み発表〜 [3]
さらに月日がたち、1か月ほどすると全員がレポートのまとめを終わらしたようだった。
「『近畿大学』『関西大学』『関西学院大学』『大阪大学』……」
桜が出されているレポートの大学の名前を読み上げていた。
「そうそうたる面々だね」
すぐ横には氷ノ山が経って眺めている。
「自分の席に帰って読みなよ。みんなに配られてるんだから」
鼠色のわら半紙を見せながら、桜は言う。
全員の机の上には、同じプリントが置かれており、適当に近くの人たちが集まって何を読むかを相談しているようだった。
「でも、書いたレポートを回し読みするっていうことになった、ということを聞いたのが昨日っていうのはどうよ」
「もう、どうでもいいよ」
桜の横には、同級生の篠伊藍が座っている。
彼女が書いたのは、『大阪工業大学』についてだった。
「どんな大学?」
「知的財産学部[知的財産学科]・工学部[2010年開設予定[ロボット工学科・生命工学科]・都市デザイン工学科・環境工学科・空間デザイン学科・建築学科・機械工学科・電気電子システム工学科・電子情報通信工学科・応用化学科・一般教育科・2010年募集停止[技術マネジメント学科・生体医工学科]]・情報科学工学部[コンピュータ科学科・情報システム学科・情報メディア学科・情報ネットワーク学科]の3つの学部を中心として、付属高校や大学院が併設されてるよ」
[作者注:大阪工業大学ホームページ→http://www.oit.ac.jp/]
「へー、やっぱりしっかりと調べてるんだ」
「そりゃそうよ。ちなみに、大阪駅から行くときは『大阪市営地下鉄谷町線』に乗り込んで『千林大宮駅』又は『太子橋今市』のどちらかから降りて歩いていくことになるわ。地下鉄のそれぞれの駅からは、約15分ぐらいらしいよ」
「さすが、レポに書いただけはあるね」
そういってほめているのは氷ノ山だった。
ただ、氷ノ山もしっかりとレポートをまとめ上げていて、誰が一番になっても不思議ではなかった。
ホームルームの始まりを知らせるチャイムの音が聞こえると同時に、ガラガラと扉が開けられて担任である川重静栄が教室へ入ってくる。
「はい、各自席に着くように」
出席簿を教卓の上へ置くと、適当に教室を見回した。
「聴いていると思うけど、今日は大学研究レポートの提出日になってます。そいで、モノはついでっていうことで、回し読みをして投票の結果、一位になった人が学年会で発表することになるから」
川重がそういうと、投票用紙を配りだした。