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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
大学見学 発表編
62/688

第62巻

第72章 大学見学 〜発表編 班別まとめ〜 [2]


まとめているのは、男たちだけではなかった。

女子高側でも、それぞれが班を作り、発表用のレポートを作っていた。

「結構時間かかるんだよねー…」

鉛筆を走らせまくりながら、桜がすぐ横に座っていた鈴に言った。

「それは、いろいろ資料をまとめなくてはいけないからですよ。面倒だと思っていても、しなければならないこともあります」

「宿題とかね…」

桜は、ため息まじりに言ってから、レポートから顔を上げた。

「結局は、しなきゃならないからしてるけど、しなくてもいいんだったらしてないよ」

「誰も強制されてするものなど、好きになることができるわけがないでしょう。それと同じことですよ」

二人の会話は、周りの喧噪のなかにゆっくりと解けていっていた。


「ねえねえ、何の話をしてるの?」

レポートを一通りまとめ終わった氷ノ山と一緒にまとめていた文版が桜の席へと遊びに来た。

「レポートまだ終わってなかったんだ」

氷ノ山が桜の発表用レポートを見ながら言った。

「あたりまえでしょ、そう簡単に終わるようなことじゃないの」

「ふーん…」

猜疑心のこもった目で、桜を見ている。

「なによ」

「いや、桜だったらすぐにでも終わりそうな感じだったから、ちょっと意外だなーって」

氷ノ山はそういって、レポートから顔をあげた。

「『神戸学院大学』について、か」

「そういう氷ノ山は、どこの大学?」

「『大阪電気通信大学』に関して、ちょちょっとね」

桜が氷ノ山の机の上を見ると、大電通の学校案内や赤本が置かれていた。

「アレが資料?」

「そ、あいつら全部がね」

清々しい顔をしている。

「一つの大学全部分の資料になるから、結構量が増えちゃってね」

「それは取り過ぎだよ…」

氷ノ山はさらっと言ったが、赤本入れて国語辞典の3分の2ぐらいの厚さになっている。

「……あれ全部読んだの?」

こわごわと桜が聞いてみる。

「そんなわけないじゃん、赤本の問題部分以外は読んだけど、それだと半分ぐらいの量になるんじゃない?」

赤本は問題集が中心だから、大半のページがその学校の問題に割かれている。

だからそういう事になるのだろうが、結局、その山の半分は読んでいるという事になって……

そんな事を考えていると、桜のアタマは混乱し始めて来た。

「それで、そちらはどのように書かれたのですか」

混乱しかけた桜の頭から他のことを遠ざけるように、鈴が氷ノ山に聞いた。

「ほら」

机にいったん戻ってから数枚のレポート用紙を見せた。

左上をホッチキスで止めてあり、表紙には"大阪電気通信大学を見学して"と大きく書かれていた。

自慢げな氷ノ山に対し、冷静に一枚一枚を見ていく鈴。

すると、小さく短い驚きの声をあげて、氷ノ山にいった。

「ここの漢字、間違えてますよ。それと文章全体で文字よりも絵や図の方が多いような気がしますね」

確かに、A4一枚のレポート用紙に対して、その半分強が絵や図を張ったり書いたりしている部分になっていた。

漢字間違いはその場で直せるが、絵の問題はどうしようもない。

「いいじゃないの。どれだけ使っても先生はかまわないって言っていたし」

そういって、半ば奪うようにして氷ノ山がレポートを持って帰った。

「ま、何回かあるわけだし、授業中だけしかできないわけじゃないわけだから」

桜はそういったが、その間にできるという自信はなかったし、リンと一緒にするということを前提に考えているわけだから、二人とも暇な時間というのが見つかるという自信もなかった。

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