613/688
第613巻
「でも花壇ってきれいだよな」
幌がそんな事を言った。
「せやなぁ。ええよな」
琴子がそれに答えて言う。
他の面々も、それぞれ思い思いに動いていて、幌と琴子は二人きりになった。
少し離れて鈴らがいるが、声は聞こえてこない。
「どうなんだろうな。花は枯れるけど、美しさは不変なんだな」
「どういうことや」
急な幌の言葉。
琴子は、真意を測りかねていた。
「いや、不意に思いついただけ」
幌も何を考えているかは言いたくなかったようだ。
「そうかい」
琴子は、ただそれだけ答えた。