600/688
第600巻
全員が一通りしてから、いっせーの、でおみくじの封を切った。
ぺりぺりと巻物のように軽く糊付けされたところを破ると、あーという表情や、よかったという表情が入り乱れていた。
「幌は、何が出たんや」
ひょいと琴子が横で少し微笑んでいる幌のおみくじを眺める。
「中吉。今までの恩を忘れずに、徳を積めって。んで、勉学が大変だが後半は良くなるらしいよ」
さらにその横へと目をやると、待人はすぐ横にいる、と書かれていたが、それは言わなかった。
つまりは、と思ってしまうと、言い出すことができなかったからだ。