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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
大学 見学編「大阪電気通信大学」
60/688

第60巻

第70章 大学見学 〜見学編 大阪電気通信大学〜 [5]


2時間後、じっくりゆっくり大学の見回れる範囲を見終わると、氷ノ山と星井出は待ち合わせ場所のベンチで座っていた。

片手には綿飴を持ち、もう片手は開いている氷ノ山と両手ともあいている星井出が、こぶし一つ分の隙間を開けて座っている。

「まだ来ないのかな」

氷ノ山が携帯の時計を見ながら、早く来ないかと、ずっと空を見上げている。

「まだ来ないだろうさ」

星井出がカバンから取り出した缶ジュースのプルトップを開けた。

「飲むか?」

気軽に聞いてみる。

「いらない」

そっけなく言い、氷ノ山は受け取らなかった。


数秒、間が空く。

間を持たせようとして、星井出が氷ノ山に聞いた。

「ところで、この大学はどう思う?」

「どうって、いろいろと珍しい事してるみたいだけど」

「昭和60年3月から続けてるらしいKa帯電波のを使った衛星実験などのための『衛星通信研究施設』とか、原子や分子レベルでの新素材開発に関連するための『エレクトロニクス基礎研究所』とかのこと?」

[作者注:

衛星通信研究施設に関するページ"http://www.osakac.ac.jp/oecu/gakka/satellite/"

エレクトロニクス基礎研究所に関するページ"http://www.feri.osakac.ac.jp/"

その他、大阪電気通信大学教育研究設備に関することに関しましては"http://www.osakac.ac.jp/oecu/faculty/ed_facility.html"にてご確認ください]

「そうそう、他の大学がしてないことをしているっていうことを、先駆けてするっていうのは、結構勇気がいることなのよね」

そういう氷ノ山は、微妙にほほを紅潮させている。

よくよく見てみなければわからないほどだが、確かにしていた。

「それで、全部飲んでしまってもかまわないよな」

その話をスパッと切り、星井出は缶ジュースを氷ノ山の方に向けて揺らした。

「いらないって」

あっさりと言い返すが、なにかほしそうな顔をしている。

「ほうひしゃの?」

水餃子を食べながらのったりと現れたのは、琴子と雅と文版だった。

「あ、琴子」

「なんや、お二人で"お楽しみ"の最中やったか?」

「なっ!」

氷ノ山が、はっきりと分かるほど顔を赤くしていた。

「お楽しみってなんだよ」

星井出はあまり分かっていないような顔をしているが、薄々感ずいているような表情も垣間見える。

「とりあえず、帰るか」

「そうねー、見たいものも見れたし」

文版が、立ち上がる氷ノ山と星井出に言った。

「例えば?」

「んー…ここの大学のサークルとか。やっぱり、大学生活を楽しむためには、部活とかは外せないと思うから」

来た道をたどるように、5人は歩き始めた。

「サークル展示とかしてたのか」

「してた」

たった一言だけ、雅が言った。

「気づかなかったな」

「あんなに堂々としていたのに、気づかないわけがないだろ」

あきれ顔で、雅が突っ込んだ。

「こんな気づかないやつもいるって言うことよ」

氷ノ山も半ばあきれているような顔をしている。

星井出も一緒にみていたらしいのだが、そのことをすっかりと忘れている様子だ。

「やれやれ、何でこんなやつ好きになったんだろ……」

「ん?どうした」

ちょっと離れたところを歩いていた星井出が、氷ノ山の方を立ち止まりながら振り向いた。

「なんでもない!」

そういって、ツンとした表情で再び歩き始める。

星井出は不思議そうな顔をしながらも、その2歩後ろをゆっくりと歩き出した。


「そういえば、なんで今日はミヤミヤがこなかったの?」

星井出のすぐ横を歩くようにして、文版が聞く。

「ああ、あいつの実家、神社なのは知ってるだろ。なんか、今日は外せない神事があるらしいんだ。それで今日は来れなかったって」

「一緒にいたかったなー」

大体の時間、文版は宮司のことを考えているような顔をしていた。

それでも、雅と琴子と一緒に行動していた。

「でもさ、一つ不思議なのはさ」

星井出が先にいっている氷ノ山たちを見ながら聞いた。

「なんで俺と一緒にいるとき、氷ノ山はポーっとした顔してたんだろ」

「なんだ、気付かなかったの?」

呆れた顔をして、文版は星井出を見る。

「ここまで鈍い人って、久しぶりに見たような気がする……」

「どういうことだよ」

「言ってる通りだよ」

文版は、星井出を置いて、早足になる。

「おい、ちょっとまて」

だがいくら聞いても、文版は星井出に教える気はなかった。

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