第6巻
この話は、読みにくさを追求しました。別に読み飛ばしてもらって構いませんが、登場人物たちの部活紹介の話です。
第11章 部活動
中間テストが終わると、いよいよ部活動が本格的に始まることになる。放課後にもなると、それぞれの部室へと急ぐ生徒達が見られる。入部手続は中間テスト前に済ましていたので、あとは、実際に行くだけだった。高校の授業よりも先に、部活動は男女混合が始まっていて、女子高側に行く男子学生もいれば、その逆ももちろんいた。
その中でも異質な存在になっていたのは、公安部と情報部の2つだった。この2つの部活は、生徒会からの委託を受け、特別に活動しているものだったが、自発的な活動を進めてもいた。
「失礼します」
公安部に入った氷ノ山は、まず、分厚い書類に目を通すことになった。それは、先輩から後輩へと受け継がれていく文書だった。この部活の先輩は、各学年に一人づつしかなかった。だが、その絶対的な権力に惹かれる生徒は多かった。文章を読みながら、公安部部長である東丸三郷は、氷ノ山に対して説明をはじめた。
「氷ノ山亜紀留。お前は、今回公安部に入部希望を出して、検討の結果選ばれたものだ。この公安部について、多少の説明がいるようだから、その書類を読みながらでも構わない、よく聞いてくれ。まず、この公安部は、他の高校で言うと風紀委員や先生が行っているような監視活動を主な業務としている。何ごとかある前に見回りをすることも重要だし、ケンカなどの場合の仲裁役や、申し立てに基づく審理などを行う事もある。基本的には、情報部との協定によって、何事かあった場合は、速やかにそれぞれの携帯電話に連絡が入るようになっている。その連絡があった場合は、学校が閉まっている時間帯、つまり午後6時〜午前7時半を除き、いつでも駆けつけなければならない。但し、午後5時半〜6時の間、及び午前7時半〜8時の間は、この高校にいる時のみ出動したら構わない。仲裁を頼まれた場合は、当事者から話を聞き、その話をもとに、公安部部員全員で決定する。この時の仲裁の中には、恋の問題も入ってくる場合があるから注意が必要だ。さらに、同時に複数の仲裁事例が持ちこまれた場合は、自分が今いる場所から近い場所から順次、仮仲裁決定をするように。その時に、先輩とぶつかった場合は、二人で仮仲裁会を開き、それを決定する。その後、1日から、長くても1週間以内に本決定を下すことになる。申し立てに基づき審理が行われる場合は、基本的に放課後に、当事者から話を聞き、情報部からの情報とともに、当事者のクラスの担任と教頭及び校長先生と公安部部員全員並びに情報部部長及び副部長の、審理会が開かれる。審理会の決定は絶対だが、この地域を監督する地方裁判所及び簡易裁判所から、一定の責任のもとで、裁判所へと不服申し立ての訴訟を起こすことができる。もっとも、審理会自体がここ数年間おこってないから、この事例はほとんどおきないと言っても構わないだろう。次に、この公安部には、校則及びその他の高校規則に違反した部活動及び生徒に対して、一定の罰則を申し渡す権限がある。無論、情報部やその他の情報源から仕入れた情報による必要があるし、根拠もなく罰則を行えば、それこそ審理会が開かれることになるだろう。最初に生徒に対する罰則の内容だが、無論、その生徒が行った行為によって変わってくる。まず、軽微な違反として、新しく作られた校則で、周知期間内だった。故意ではなく初犯だったなどの事例に対しては、注意が行われる。次に重いのが、軽い違反で、入学又は転学したてだった。初犯ではないものの、故意ではなかったなどに対しては、厳重注意が行われる。次は中程度の違反で、例えば、初犯であり意図的に行った。故意に器物損壊を起こしたなどに対しては、停学1週間前後。高程度の違反としては、意図的に器物損壊を起こした。累犯で意図的に校則違反を行った場合などは、停学1ヶ月前後。最高程度の違反としては、累犯で意図的に器物損壊を行った。本校の規則を著しく破った。社会理念からみても許されない行為を行ったなどの場合は、放校処分となる。その上に行くと、間違いなく警察のご厄介になるだろうから、今回は触れないでおく。そのような事がないことを願っているが…さて、次は部活動に対する罰則だが、軽微な違反としては、初犯で各部活に設けられている部規則を破ったなどがある。そうなると、注意が行われる。軽い違反としては、累犯で各部活の部規則を破った。他の部活との仲裁を訴えてきたなどがある。仲裁を訴えてくる事自体は拒まないが、それを行うようなことに発展したと言う点では、あまり許されにくいと思われる。よって、それらに対しては、厳重注意が行われる。中程度の違反としては、部員が軽い違反もしくは中程度の違反を行ったなどがあり、それに対しては、停部1週間前後が申し渡される。高程度の違反としては、部として学校の備品を破損させた。部室を限度以上に汚したなどがある。それに対しては、停部1ヶ月前後。最高程度の違反としては、部として部室を破壊したなどがあり、そうなると廃部処分が下される。最高程度の違反は、今まで一回も下されたことがなく、最大でも、高程度の違反だけだ。さらに、それぞれ中程度の違反以上になると審理会が開かれ、停学もしくは停部の期間が決定される。長くても2ヶ月だ。だが、現在までの最長は1ヶ月半で、限界ぎりぎりまでした者はいない。それ以外の罰則としては、教職員提案による審理会開会によって、自宅謹慎や療養などが決定されることになっている。この期間は、さっきあげたものにとらわれることがないため、どれだけ長くても構わない事になっている。最後に、情報部との協定についてだが、情報部とは、緊急時情報相互提供協定を結んでおり、公安部が見つけた情報は情報部へ、情報部が見つけた情報は公安部へ届けられる制度が確立されている。そのため、この公安部と情報部は密接な関係になっており、さらに、予算も相当使う。特に情報部だが、情報収集費と言う名目で、30万以上を使っている。その影響で、公安部と情報部は、月に1回開かれる定例職員会議に報告書を提示し、職員会議の認可がない限り、予算が執行できないようになっている。さらに、年に2回開かれる生徒総会の場においては、それぞれの時に報告書を提出し、その承認を得る必要がある。公安部についての話はそれぐらいだ。さて、氷ノ山亜紀留よ。お前もこれで立派な公安部員だ。その証明として、この公安部とかかれた黄色い腕章を学校にいる間は常に腕につけ、何かあった場合の時の為に、制服にこの徽章を付けてくれ。それによって、君が公安部の部員であり、正式に認められたという事がはっきりと分かる。公安部として活動を行う場合は、そのことを周りに明言して行動をし無ければならない。その目印となるのが、この笛だ。これを吹けば、公安部だと言う事が分かるようになっている。では、公安部の説明は以上だ。こちらとしては、次々期部長がちゃんと入ってくれて、嬉しい限りだ。ささやかだがその歓迎会を開こうと考えている。今からなら時間があるかな?」
氷ノ山は、少し考えて頭を落ち着かせてから言った。
「はい、まだ大丈夫です」
部長はうなづくと、部室を片付け、歓迎会の準備を始めた。
一方で、情報部へ向かった星井出包矛は、部室に入るとすぐに、各種情報を確認されていた。部長は、こちらを見て笑って言った。そして、結構厚めの冊子を星井出に渡した。
「…分かった、あなたは確かに、情報部に入部した星井出包矛ね。すまなかったね。ここは、この二つの高校の中で最も警備が厳しいところだから、認められた人以外は入れないようになっているんだ。さて、情報部についてよく知らないようだから、これから説明するよ。情報部は、この女子高が創設されたと同時にできた部活動で、男子高がまだ全寮制だった時に、こちらに夜這いする人たちを取り締まる目的であちこちに取り付けた装置の、監視員として設立されたって聞いているの。いまじゃ、全寮制じゃなくなって、自宅から通ってくる人たちもいるけど、それでも、女子高に侵入しようとする男子生徒は大勢いるの。だから、情報部はこれからも存続するでしょうね。あなた達、男子生徒が女子高にへんな目的で進入することがなくなるまでね。さて、前置きはこれぐらいにして、本題に入るわね。この情報部は、女子高、男子高の全ての情報を握っている唯一の部活よ。先生ですら知らない裏情報も多いにあるし、逆に、みんな全員知っているような情報もある。誰と誰が付き合っているかを知りたい時には、情報部に適正な価格を拠出してもらえば、見せる事も可能よ。でも、ほとんどその要求はないわね。そもそも、そんな事を無断で見せたりしたら、公安部が一瞬で勢ぞろいよ。高程度の違反で、部活動停止1ヶ月になるのはいやですからね。さて、そんな事よりも、この部活は、先生からの委託を受けて独立して行われる部活なの。全ての部活に対して情報を聞く権利が認められているし、無論、必要があれば、私達から聞く事にもなるわ。そのために、この部活動は、どこからもハッキングできないようにする措置が必要になったの。全ての情報と言う事は、テストの得点みたいな個人情報も含まれるからね。このネット社会。どうやってもインターネットをつないでいたら、外から侵入される可能性が否定できない。だから、最も安全な方法を取る事にしたの。それが、ネットにつながないという方法よ。ここにおかれている全てのコンピューターは、この部屋の中だけの有線LANは結んでいるけど、この部屋以外からは、誰も接続することはできないの。十数年前から、この部活だけはインターネットを使わない事で職員会議から認証を得てるから大丈夫よ。だから、私のスリーサイズとかも調べられるんだけど、そんな事も個人情報の一部だから、公表するためには、その個人の許可が必要になるの。でも、そんな私達の情報部だけど、唯一手がつけれない時期があるの。それが、テスト期間よ。正確には、まだ行われていないテストの情報ね。いつも、テストの直前になると、テストの情報を聞きたがりに来るんだけど、過去問は見せる事ができるんだけど、今回の問題は、入手自体が不可能だから、見せる事もできないの。まあ、テスト情報が流出したとか言う事になったら、間違いなく、私達が疑われるわね。でも、そんなに情報を収集するために、私達の情報部には、特別予算が組まれているの。公安部とは協力体制になっていて、向こうの話はこちらに聞こえるし、こちらの話は向こうに聞こえるような仕組みになってるの。公安部ができてからまだ10年ぐらいだけど、非行とかが大勢いたから、私達だけじゃ対処しきれなくなったの。それを補うために、情報部から公安部を独立させて、彼らがその任に当たったの。ほかにも、情報部の所にある部活はあって、月に1回、校内壁新聞を制作することになっている新聞部とか、昔は人数がなくて情報部が預かっていたけど、今年は、3人ほど入ってくれて無事に独立した放送部とか、いろいろとあるのよ。でも、この3つ以外は、今は活動を休止中ね。誰もいなくなっちゃって、私達が預かってるの。どれも、学校の生活をより良くするためには必要だと思っているから、廃部にはしてないんだけどね。さてと、休止中の部活動はほっといて、この情報部の体勢について説明をしておかないといけないわね。この情報部は、周囲から情報を集めて処理をする事が目的として設立されたの。この両高校の全ての情報が集まるから、最も攻撃を受けやすい部活でもあるの。だから、公安部と協定を結んで、情報部の情報は公安部に、公安部の情報は情報部に速やかかつ緊密な交換を行うことを決定しているの。他には…無いようね。じゃあ、今歓迎会の準備をしているの。あなたも来る?」
彼女は、星井出に確認した。
「喜んで行かせていただきます」
彼は、そう言った。
料理部に入った陽遇琴子と幌は、部長から部の説明を受けていた。
「料理部へようこそ。まずは、歓迎しよう。たった2人だけの新規入部だが、誰も入らないよりかはましだ。さて、この料理部は、文化祭の模擬店を行う事が、主な目的になる。他にも、料理のコンテストに出場する事もあるが、ほとんどその機会はない。週に1回、ここにこうして集まって、わいわいしながら料理を作る。まあ、そんなものだな。だから、俺らができるのは、挨拶代わりのお好み焼きぐらいだ。まあ、ゆっくりと食べてくれ」
2人は、顔を見合わせて、笑いながら言った。
「はい!」
永嶋山門と山口鈴は、コンピューター部にいた。パソコンが数台置かれているだけの部活だった。
「え〜、このコンピューター部へようこそ。私が部長の西稿唯です。見ての通り、ここの部員は、私を含めて2年生3人と3年生2人だけです。とりあえず、この部活について簡単に紹介を…この部活は、情報部傘下の部活のひとつで、とりあえず、独立はしています。情報部に寄せられる膨大な情報の内、必要と不必要に分類することを主な業務として、趣味に走る事も業務のひとつになっています。現在とりかかっているのは、自作コンピューター作成で、学校に頼んで、日経BP社が発行している「日経WinPC」を定期購読し、日々、パソコンに関する知識を高めているところです。自作をするために必要な知識も、大半はそこから入手します。情報部に関しては、この学校にある全てのコンピューターのメンテナンス及び修理を、この部活に一任する形で請け負っています。さらに、情報部の下部組織である新聞部と協力し、校内新聞を発行しています。そのほかの業務としては、公安部から要請されてモンタージュ写真作成や、他校との情報交流などをしています。詳しい事は、やりながら教えますので、これから、よろしくね」
部長は、こちらに向かってウインクしたように見えた。永嶋と山口は部長に言った。
「分かりました。こちらもよろしくお願いします!」
部長は、それからテーブルの上に乗ったお菓子の数々を指差し、続けた。
「これから、君達の歓迎会をはじめたいと思いまーす!」
そして、有無を言わさずにそのところへ連れていった。
文版栄美は放送室にいた。放送室は、校内放送を行うための機械が置かれている廊下と同じタイル張りの床の部屋と、それ以外の機械がいろいろと置かれているカーペットの部屋の2つに分かれていた。それぞれ、機械室とスタジオと言う名前だった。今年から無事に情報部から独立し、独自の体勢を整えたが、それでも、先輩がいない影響で、情報部から情報を特別扱いで引き出すことを、情報部から独立する時に締約した。
「やっと、これからなんだね」
部長職に就いたのは、文版だった。
「そうよ、これからが問題なんだから」
同じ放送部に入ったのは、女子2名男子1名だった。今この時点でいたのは、文版ともう1人の女子である豆見加多古だけだった。
「そうだね。ズーミー」
「だから、ズーミーって言うのやめてよ。なんだか恥ずかしいから…」
「えー。だって、豆見じゃ言いにくいから、のばしているのにー」
その時、放送室の扉が開かれて、誰か入ってきた。
「そう言えば、ズーミーって言う動画投稿サイトがあったな」
「宮司君」
「ミヤミヤじゃん。遅れたのは?」
「掃除だよ。教室掃除。それよりも、ミヤミヤって言うのやめろよ」
「いいじゃんかー。宮司宮司が本名だから、略してミヤミヤ」
「…別にかわいくもないぞ。それよりも、情報部から今から10年以上昔にいた、放送部の先輩達が使っていた発声方法に関する書物が山のように出てきたんだ。それを持ってきた」
そう言いながら、段ボール箱一杯に詰められたそれを、スタジオの床に置いた。
「とにかくだ。始まりから調子よく行く時もあれば、いかない時もある。俺達は、どうなるかは、これからのお楽しみだな」
宮司が言った。他の2人もうなづいた。
陽遇雅は、アニメ研究部の部室に来ていた。公安部のすぐ横にあり、途中まで氷ノ山と一緒に来ていた。そして、部室の中に入ると、すぐにアニメキャラのポスターが目に付いた。
「おっと、君がアニメ研究部に新しく入った陽遇雅君だな。このアニメ研究部は、つい去年に部に昇格したばかりなんだ。それまではアニメ研究会となっていたんだが。ようやく、部に昇格するためのいろいろな規則を上回ってね。ああ、そうそう、この部に入ると言う事は、アニメ関連について興味や感心があるって言う事だね。このアニメ研究部は、さまざまなアニメに関して、多角的に研究を行う部活だ。大体、1クールにつき、3作〜4作のアニメを継続して見る事になる。それに関して、いろいろな論議をするのだが、多少個人的なことが入ってももちろん構わない。アニメと言う2次元の世界へと新たな境地を切り開くための、我らは道を作っているのだ。世界は常に我らのために開かれているとは限らないが、作品があまりに多い時を除いて、大体この部屋で見る事になる。違法行為かどうかは知らん。著作権法によれば、非営利だったら大丈夫のようなことが書いてあったような気がする。だから、我らはさまざまなサイトから取ったり、実際に録画をしたりして、そのアニメについて論議を行うのだ。さて、それがこの部活動の主な目的だな。説明はこれぐらいにして、君の為にささやかながら歓迎会を用意した。今年の入部者は君ともう1人なんだが、残りは今日は休みだそうだ。よって、来た時に紹介することにさせてもらう」
そう言うと、陽遇を連れて部長は歓迎会と言う名のアニメ鑑賞会を行った。
その日の夕方。ふらふらになりながら帰ってきた一行は、寮とか家とかに別れる前に、幌達の家に寄っていた。
「あ〜あ、疲れた…」
「みんなして…俺の家は休息所じゃないぞ」
「かまやーしないよ。夕食代を浮かすためなら、なんでもするぞ」
星井出が言った。
「そーですか。そう言えば、みんなも部活動見にいったんだろ?どうだった?」
「まあまあだね。とにかく、これからどうなるかが楽しみだよ」
雅が言った。彼らは、幌が出した夕食を全て平らげてから、家や寮へと帰った。幌と桜はそれを見送ってから、家の中へ再び入った。
「あいつら、あれで寮母さんとかに怒られないのかな…」
幌がつぶやいた。
「大丈夫じゃないの?」
食器洗いをしている桜が返した。
「そうかな…」
「大丈夫だって。幌は心配性なんだから。あの子達は、何もしなくても勝手に生きていけるって。そうだ。今度遊びに行こうか」
「寮へか?女子寮と男子寮があるから、どちらかは行けないぞ」
「う〜ん。だったら、寮はあきらめて、山口さんの家に行くとか?」
「ああ、あの超お金持ちの?」
「そうそう、あの子の家は、とっても広いらしいの。玄関から家の本体まで車で10分かかるんだって」
「…どれだけ広いんだ?」
「さぁ。私も友達から聞いただけだからね。詳しいのは、ちょっと…」
「行くとして、いつになるんだ?」
「明後日が一番近い休みの日よ。ちょうど土曜日になるの」
「じゃあ、山口に聞いておいてよ。その日に遊びに行っても構わないかって」
「分かった。明日聞いておくよ」
そう言って、桜は幌のところへ来た。すぐ横へ座ると、幌にもたれた。
「なに?」
「えへへ〜。昔はこうしてよく眠っちゃったね」
「それは姉ちゃんだけだろ?俺はそんな事なかったよ」
「そんな事ないって。幌もよく寝てたよ。あの頃はかわいかったな〜」
「なっ!」
「あ、幌の顔。真っ赤だよ」
「だって、姉ちゃんがそんな事言うから…」
その時、幌が立ち上がって、部屋へと戻った。
「あ〜あ、帰っちゃったか。もうちょっとだったのにな…」
そして、翌日。
「わたくしの家ですか?」
「そう。行ったことなかったから、明日遊びに行っても大丈夫?」
「桜さん達なら、いつでも大歓迎ですよ。どなたかお誘いするのでしょうか?」
「私の弟とか、友達とか。何人か行くことになるでしょうね」
「では、その準備の方をしておきましょう。話は変わりますが、テストの結果の方はどうだったのでしょうか?」
「…それは聞かないで…」
そして、ゆっくりと雨の気配が始まる……