597/688
第597巻
「いい湯だったね」
ほっこりしている女子陣に対して、男子陣はというとさっさと本堂へと向かおうとしていた。
「薬師如来を祭っているんだって」
「じゃあ、宮司連れてきたら詳しかったかもな」
宮司は、今日は寮にいるはずだ。
大学への進学のため、そちらへ向かうための荷造り中だった。
「神社には詳しいけども、お寺にも詳しいのかな」
桜が少し駆け足で幌の横へとやってくると、そんなことをつぶやいた。
「ま、似たようなものじゃない?」
「全然違うけどね」
笑いながらも、一行は歩いていた。