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第583巻
幌の合格通知書は家に届いた。
「お、受かったか」
ハサミで封筒の端っこを切り、中身を確認してから幌は目の前にいた桜へといった。
「おめでと、これであとは卒業できるかどうかってとこね」
「卒業はできるさ、そういわれたからな」
あと1か月と少し、それで高校生活は終わりを迎える。
「どこかに旅行したいねぇ」
居間のテーブルでの話は、あらぬ方向へと向かおうとしていた。
「どこかって、どこさ」
幌が封筒の中身を確認しながら、桜に聞いた。
「どこだろ、少し遠くて、それでいていきにくいところ……」
「温泉とかもいいよね、卒業旅行とか」
幌が言うと、桜はキラキラとしていた。