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第578巻
「いただきまーす」
テレビをつけて、適当なチャンネルへと回す。
幌はそんな桜を見ていた。
もぎゅもぎゅと食べている桜は、幌へとと聞いた。
「どうだった、て、聞かないんだね」
「聞く必要もないだろ」
幌は桜に答える。
「受かってるだろうさ。だって姉ちゃんだからな」
それは疑っていないようだ。
「それにさ、明日になれば嫌でもやんやと言われるんだ。今ぐらい落ち着かせたいさ」
それが幌の本音のようだ。
それを聞いて、桜はご飯を食べ進める。
「……それだけ?」
「ああ、他に理由なんてないさ」
桜のことは、本人以上に知っているというのが幌の思いなのだろう。
だから、幌はあえて聞かない。
結果が出るまでは、このことは何も言わないようにする。
それが幌がすべきことだと、幌は思っていた。
そして、事実、それから試験の話を家ですることはなかった。