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第577巻
9時を少し回ったころ、ようやく桜は家にたどり着いた。
「ただいまぁっと」
言って靴を脱いで、カバンを玄関近くの廊下に、靴下を脱ぎながら歩いて、リビングへとたどり着いた。
「お帰り、姉ちゃん」
ドアが開く音がしたのを聞いた幌が、自室から顔を出す。
「大変だったね」
「そうだよ、なんであのタイミングで人身事故なんて起こすかなぁ。まあ、試験終わってからだったから良かったけどさ」
桜は制服を脱ぎつつ、幌へと愚痴る。
「晩ご飯、まだだろ。温めるだけでできるようになってるよ」
「さすが幌。待ってたよ」
今の楽しみは十中八九これのようだ。
とりあえず温める間に着替えるようで、桜は桜の部屋へと一旦戻った。