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第575巻
幌はメールの後、先に食べると追記して再びメールを桜へと送った。
一人で食べるご飯なんて、いつぶりなのか。
幌は、それを思い出せずにいた。
それぐらい昔のことだったからだ。
「……ああ、姉ちゃんが入院した時だったか」
あれがいつなのか、確か小学生の頃の話。
それ以来のような気がする。
あの時はさみしくて、それで泣きたくなって。
でも、泣かなかった。
幌は、そのときに自力で料理を作り出した。
姉が帰ってきたときに、うれしそうな顔が見たくて。
「あれが、きっかけだったんだよな」
そんな懐かしいことを思い出しながら、ただただ食べ続けた。