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第569巻
「て言ってもね。私だって怖い時には怖いんだよ」
幌は桜の話を聞きつつも、ふつふつとゆるやかに沸き出した牛乳へ、あらかじめ温めておいた板チョコレートを、手で割りながら入れていく。
ブラックチョコレートで、牛乳へとすぐに溶けていった。
「そっか、なんか安心したな」
「どういうことよ」
「姉ちゃんも人の子だってことさ」
チョコレートを入れると火を落とす。
あとは余熱で全部溶かして、コップへと注いでいく。
「それをいうと、幌だって人の子だよ」
「それは知ってるさ」
ついでに、幌の分も作っていたようだ。
二人分のコップが、きれいに机へと置かれた。