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第550巻
「お待たせ」
幌が出来上がりをそのままよそっていく。
「待ってましたっ」
すぐに琴子が反応する。
すでに椅子に座って、幌が持ってくるのを待つばかりだ。
一つずつ、確実に幌はそれぞれの前に持っていく。
「ハンバーグか。ちょうど食べたい思うてたところやったんや」
すぐにでも食べそうになっている琴子を見ながら、幌は麦茶を入れる。
「待っとけよ、まだ持ってきてないのあるんだからな」
「ほーい」
スッと、琴子は大人しくなった。
「わかりやすいなぁ、姉ちゃんは」
雅がこそっと言ったのを、幌だけが聞いていた。