537/688
第537巻
「きれぃ……」
琴子は思わず声が漏れた。
「そうだね」
いつの間にか、桜が横にいたようだ。
琴子へと桜が声をかけている。
「あ、あれ。幌は?」
少し慌てるように桜へ答えると、桜は少し前の方を指差す。
鈴と山門が指を絡めあって、いわゆるカップル繋ぎをしているのは、ある意味当然だ。
その前で、幌と雅が携帯で写真を撮っていた。
「ま、よくはしゃぐことで」
桜は少し呆れて、それでも憧れているように呟いた。
「せやね」
琴子は、ただ、嬉しそうな笑顔を見せている幌ばかりを、じっと見ていた。