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第536巻
少し、琴子は思う。
「あと30秒っ」
誰かの声も、少し遠くに聞こえた。
さっきのは何。
幌は、何をしたかったの。
私と見に来たかった、そういうことにも受け止められる。
「あと20秒!」
それが本当なのか、琴子は判断できるだけの材料を持ち合わせていない。
それでも、この気持ちが嘘じゃないことを知りたい。
ただ、本人に聞くのは、どうにも気がひける。
「じゅう!」
本当に?
「きゅう!」
私が
「はち!」
幌と一緒に
「なな!」
なっても
「ろく!」
大丈夫
「ご!」
なの?
「よん、さん、に!」
答えて、誰か
「いち!」
光が、その時、琴子の道を照らした。




