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第533巻
「なぁ、ついでだからどっか寄っていかないか」
幌が提案した。
「せやな、息抜きも必要やしな」
琴子が答えると、すぐそばにある建物へと入る。
手野百貨店の1階だ。
化粧品の匂いが強いが、幌らはそこを歩き抜けてエレベーターのところへ。
半円の時計のような針で、今エレベーターがどこにいるのかを表示している昔懐かしいタイプのエレベーターが未だ現役だ。
そのボタンを押して、幌は階数を確認する。
「何階行く?」
「決まってるだろ」
幌は桜に笑いながら答えた。