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第532巻
受付で鍵を返して外へ出ると、かなり寒く感じる。
「ひゃー、寒くなっとるなー」
琴子が、上着のコートをクッと抱きしめる。
誰からか借りてきたのか、それとも私物かは分からないが、黒いチェスターフィールドコートを着ている。
「そりゃ夜になってきているからな」
雅が横でカバンを肩にかけなおしながら言う。
雅もそうだが、肩掛けのかばんは、学校用のものではない。
「もう秋から冬に移ってるからなぁ。これからもっと温度下がってくだろ」
幌が琴子と挟んで歩き出す。
三人のすぐ後ろは、桜、山門、そして鈴が同じ歩調で歩いていた。