第53巻
第63章 大学見学 〜見学編 『神戸学院大学』〜 [4]
「まずは、ご飯でも食べない?おなかすいてるでしょ」
幸が、幌たちに言う。
「でも、このあたりはよく知らないから…」
「じゃあ、カレーが食べたいか、ラーメンが食べたいか」
「えっと…」
悩んでいる幌たちを置いて、幸が言い続ける。
「コンビニっていう手もあるよ。『ローソン 神戸学院前店』があるからね」
山門が、幸に聞いてみる。
「カレーやって、どんなのがあるの?」
「えっとね、『マハラジャ』っていう名前のと、『RARA』と言う店の二つあるよ。どっちもかなり本格的なカレーが出てくるんだ」
「インドカレー?」
幌が聞く。
「マハラジャさんはね。RARAさんの方は、ネパール料理とインドの両方が楽しめるよ。でも、どっちも甲乙つけがたいほどおいしいんだよ」
「じゃあ、ラーメンの店は」
山門が聞いてみる。
「私が行ったことがあるのは、『ラーメン2国』『からや』『くるめラーメン』、それと『来来亭』だね。それぞれに個性があって、とてもおいしいよ」
「どれも食べてみたいです。その中で、お勧めの店は?」
鈴が幸に尋ねる。
「んー……」
幸はけっこう考えてから、結論を出した。
「どれもおいしいけど、一番のお勧めは、本当は学食なんだよね。今日は日曜日だから閉まってるけど、安い、多い、うまいを地で行ってるからね」
だが、一行はどこかで昼食を食べるという必要に駆られていた。
「じゃあ、第3の選択肢ということで……」
幸が行ったのは、大学から歩いて10分ほどのところにあるうどん屋だった。
「ここ」
指さした先には、明石駅からバスで来た道と、海へ向かって下る道との分かれ道の、ちょうど間に挟まっている形になっているうどん屋だった。
「『麦まる』?」
「そうよ、180円から出してるわ」
そう言って、さっさと入っていった。
ご飯を食べてから、また歩いて大学へと戻る。
「結構おなかに来るね…」
「うどんとご飯、それにてんぷら。唐揚げも食べりゃあね」
幸は、食い過ぎだろうという目で、山門を見ていた。
女子一同は、小食を装って、あまり食べなかった。
本当のことは、男二人がよく知っているが、あまり語ることはないだろう。
「さて、腹ごしらえもできたことだし、まずはどこを見に行く?建物の中には入れるところと入れないところがあるから、注意してね」
幸がそういうのを聞いて、幌たちは、バス停降りてすぐの広場にある、構内案内図を見ていた。