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第525巻
「でも、姉ちゃんでも勉強ってするんだな」
幌が机でシャーペンを走らせながら言う。
今しているのは、どうやらセンターでする化学分野のようだ。
「当たり前でしょ。天才だって努力してるんだから」
「天才って、自分でいうか……」
幌のそのツッコミは、携帯のメールで遮られた。
「あ、メールだ」
「誰から誰から?」
すぐに集中力がなくなった桜に、幌が答えた。
「山門から。勉強会したいから、次の土曜日空いてるかだって。どこでするかは決めてないみたいだけど、手野駅前に話すのが自由な自習室があるんだってさ」
「そうね、行ってもいいかも。教えながらの方が身につくかもしれないしね」
「それじゃあ、行くって返信しとくぞ」
幌は桜に言いつつ、携帯で返信していた。