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第524巻
文化祭が終わると3年生は受験勉強に集中することとなる。
「楽しい日々よ、さらば。苦しい日々よ、こんにちは……」
「姉ちゃん、言ってる場合じゃないでしょ」
幌も、土日もなく、ずっと勉強の日々を送っている。
「でもさ、姉ちゃんはさ、いけるんじゃないの」
「志望校?」
「そうそう」
幌が桜に言った。
家のリビングの机で、ずっと勉強をしているが、持っている大学の参考書は違っていた。
幌はゲームやアニメに興味を持っていたが、今行きたいと考えているのは、どうやら料理関係の学校のようだ。
「栄養士って、幌らしいけどね」
「そういう姉ちゃんは、意外だよ」
桜が持っている参考書には、法学部の文字が見える。
「弁護士でも目指すの?」
「それもいいかなって」
桜は朗らかに笑って言った。