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第520巻
「気付いたらこっち来ててね。あいつにも誘われたし」
幌は、中に他に誰もいないようなので、入ってみることにした。
澤井も暇していたようで、何かの本を読んでいたようだ。
「桜は今はいないよ」
プラネタリウム室の中は、今は写真の展覧会の会場になっていた。
全てが夜空の写真だ。
幌には、何の星座かはわからなかったが、綺麗だと思った。
「姉ちゃんのことさ、何か食いにいってんだろ」
「ご名答」
澤井が、本を傍の机に置いて、それから幌にそう言った。
どこか遠くで、くしゃみの音が聞こえた気がした。