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第518巻
誰が描いたかは知らないが、アニ研の誰かだろう。
「上手いなぁ」
何かのアニメのイラストとしか、幌にはわからなかった。
「ちっす」
再び歩き出した幌に、誰かが声をかける。
「雅か」
琴子の双子の弟である雅が、廊下の少し離れたところから声をかけてくる。
「おう、料理部はいいのか」
「まあな。お前の姉ちゃんに任してきたさ」
それを聞いて、少し雅は心配そうな声をして幌に聞いた。
「大丈夫なのか、それ」
「大丈夫さ。腕も上がっていたしな」
それに、と幌は続ける。
「一度は見ておきたかったしな、文化祭」
「そっか」
雅は、それだけ返した。