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第512巻
「サンキュ」
幌は礼を言って受け取ると、すぐにフタを開けて500mlの半分ほどを勢いよく飲んだ。
「ほれ」
琴子は幌へと右手を出す。
「ああ、そうだったな」
言いながら思い出したかのように、幌は財布を取り出して、100円玉を琴子も手に握らせた。
「あいよ」
ひょいと手は引っ込む。
「今日一日でどれだけ儲けたんだろうな」
すっかりとくたびれた幌は、屋台として使っているテントをぼんやりと見ながら呟いた。
「たくさん、やで」
「数えてなかったのか?」
「飽きた」
それから琴子は幌の横に座る。
後輩らは幌らと入れ違いに外へと出て、今日の後片付けをしているようだ。