第51巻
第61章 大学見学 〜見学編 『神戸学院大学』〜 [2]
日曜日の午前11時ちょっとまえ。
幌、桜、鈴、山門だけが、集合場所にいた。
山門があたりを見回して幌に聞く。
「他の人は」
「今日は来れないって」
携帯で確認しながら答える。
「じゃあ、これで全員か…」
3人を見回しながら、山門が言った。
「早速行こうか」
携帯でメールを送りながら、改札をくぐった。
JR大阪駅にて、電車を待っている間、幌は山門に聞いた。
「どうやっていくんだっけ?」
「新快速で明石駅まで行くんだ。それから神姫バスに乗って神戸学院大学前で降りる。乗る場所は北1番乗り場から」
「了解」
そこまで話した時、放送がかかった。
「まもなく、5番線に、姫路方面、播州赤穂行きが8両編成で参ります。白線の内側まで、お下がりください」
汽笛によって、繰り返しは遮られたが、それでも乗るべき列車だということは分かった。
「これに乗るよ」
山門はドアが開くと同時に、そのすぐわきに立った。
中から人が次々に出てくる。
降りる人がいなくなると、すぐに乗り込む。
席はあちこちに空いている。
その隙間を埋めるように人が続々と入ってくる。
「ここ空いてる」
桜が最初に座ったのは、対面式になっている座席だった。
「席確保ー」
2、3人立っている程度で、ドアが閉まった。
『尼崎駅』『芦屋駅』を経て20分ほど経ったとき、『三ノ宮駅』に着いた。
半分ほどの人がいなくなった。
「ここから、『阪急電鉄 神戸線』『阪神電気鉄道 本線』『神戸高速鉄道 東西線』『神戸新交通 ポートアイランド線』『神戸市営地下鉄西神・山手線』『神戸市営地下鉄海岸線』へ行くことができるからね。それに地下鉄を利用すると『山陽新幹線』の『新神戸駅』へも行けるから」
「利便性がとてもいいっていうことか」
幌が山門の説明にぼそっと言った。
「そういうこと。それと、神戸学院大学の『ポートアイランドキャンパス』や、『神戸女子大学』『兵庫医療大学』『神戸女子短期大学』が『文部科学省 平成20年度「戦略的大学連携支援事業」』『ポーアイ4大学による連携事業』に選ばれているんだ」
[作者注:ポーアイ4大学による連携事業についてのホームページ→http://www.kobegakuin.ac.jp/~kp4uc/]
「なんだかすごいっていうことだけは分かった」
幌がよくわからないという顔で、山門を見ていた。
電車のドアが閉まると、次は『神戸駅』に着く。
「この神戸駅からは、『神戸大学医学部』や『神戸市立体育館』、『神戸地方裁判所』などに行けるんだ。それと、『兵庫駅』から出る『和田岬線』に行く人たちや、新快速から快速などに乗り換えをするための乗換駅としてもつかわれるんだ。もっとも、三ノ宮駅の方が乗り換えが楽なんだけどね」
「なんでそこまで詳しいんだよ」
山門の流暢な説明に、幌が突っ込む。
「いろいろと前準備してるんでしょ」
すぐ横に座っている桜が幌に言う。
「発車します、ご注意ください」
スピーカーから車掌の声が聞こえてくる。
それと時を同じくして、ドアが閉まった。
神戸駅を過ぎると、目的地の明石駅までは止まることがない。
約15分間は走りっぱなしということになる。
「途中で『明石海峡大橋』の下を通過することになるから。ただ、一瞬で通過するけどね」
「この速度で進むんだから、そりゃ瞬間的なものだろうね」
桜がペットボトルのお茶を飲みながら山門に言い返す。
「それで、そのいとこの人は、どこで待ち合わせなんだ」
幌が桜の発言から一拍置いて、山門に聞く。
携帯のメモ帳を見ながら、答える。
「『明石駅』の改札口の前でまっているっていうことらしいんだ。だから行ってみたらすぐわかると思うよ」
「了解」
それからは、心地よいタタンタタンという音が列車の中に響いていた。
「まもなく明石駅です。『山陽電車』はお乗り換えです。右側の扉が開きます。ご注意ください」
そんな車内放送を聞いた時、4人はほぼ同時に立ち上がり、ドアの前へ向かった。