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第503巻
始まってから、急に忙しくなった。
息つく暇もないというのはきっとこういう状態なのだろう。
「それで、どうなった」
12時過ぎ、クレープはおやつという感覚でもあるのか、他の屋台が賑わっている中で、幌たちのクレープ屋は少し静かになった。
「なかなかきついなぁ」
琴子が、幌に冷蔵庫の中身を伝える。
「やっぱバナナは人気だな。買い足しに行かないと……」
幌が呟くと、休憩を取っていた2年生の沢入と岩嶋が名乗りをあげる。
「それじゃあ、近くのスーパーに買い出しに行きますよ」
「それじゃあ、頼むよ。バナナが5房はいるかな。それとイチゴ、生クリームも」
近くのメモにボールペンで足りないものを書いて、幌は沢入に渡した。