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第498巻
「佐谷なら、部長と一緒に見回り」
クレープを受け取りながら今島が答えた。
「そうなんだ。一人で大丈夫?」
「そっちこそ、料理部は大変だろ。こっちは誰も来ないもんだから暇さ」
パンフレットの山を左手でぽんぽんと叩く。
「ここに全部置いておいて大丈夫ですか」
「ああ、いいよ。紙皿だったよな」
「そうです」
及川が今島へと話す。
ただ、ラップを外そうとする手を制止する。
「いやいや、これはこのままでいいよ。ここは教員とか生徒とかがよく通るから」
「お客さんは来ないのにねぇ」
すぐ横にあるジュースを入れていたカバンに紙皿を入れていく。
代わりにペットボトルのジュースは今島の横の空いている椅子の上に置かれる。
「それでは、またどうぞ」
「食べ終わったら、買いに行くかもしれないな」
今島が手を振りつつ、二人を見送った。