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第494巻
焼きあがったのは、だいたい10分ぐらい経っていた。
「保温器に全部入れたね」
「入れた入れた」
琴子へ幌が確認をする。
それを聞いて、幌が保温機を持ち上げる。
だいたい5kgくらいの、小さなもので、見た目は赤色をしたクーラーボックスだった。
「お金は受け取ってるし、あとは届けるだけ。任せていいかな」
「もちろん」
しばらくはお客さんは来ないだろう。
幌はそう考えて、自分が届けるという話にした。
「それじゃ。すぐ帰ってくるよ」
「あいよ」
琴子が軽く手を振って、幌を見送った。