第48巻
第58章 大学見学 〜行先編 研究〜
体育大会が終わって最初の月曜日。
みんながだれているになっているその時に、担任が生徒に対して言った。
「これから、プリントを配る。そのプリントをよく読んで、班を作っておくように。期日は、プリントに書いてある」
ただそれだけだった。
眠い目をこすりながら、みんなはそのプリントを見た。
要約すると、こんな感じだった。
・『神戸学院大学』『甲南大学』『近畿大学』『大阪電気通信大学』『関西大学』『関西学院大学』など、さまざまな大学があるが、その一つを選択し、研究する。
・その大学を直接見学し、構内の様子を確認する。見学に関しては、キャンパス説明会や文化祭[大学祭]などを利用すること。
・特定の大学に関しては、特別に複数の高校を集めての説明会を開くため、それにまとめて応募する。行きたい場合は、担任の先生にその旨を伝えること。
・大学の研究結果をレポートとしてまとめ、クラス内で発表する。ただし、クラスの中での投票の結果最優秀と認められた班は、学年会で発表する。
とのことだった。
「大学見学かー…」
幌はそのプリントを見ながらも考えていた。
「これからの進路を考えながら、どうするかを決めておかないといけないから…」
机の周りには、いつもの面々がそろいつつあった。
「みんなはどの方面に行きたいんだ」
山門たちに聞いてみる。
「さあ…理系方向に行きたいとか、まだ漠然としてるから…」
山門の話に、周りはうなづいて答える。
「とりあえず、放課後に集まって考えるか」
幌はそう言って、背伸びをした。
そして放課後。
テンテンバラバラに部活へ行く人たちの横で、幌、山門、鈴、桜、雅が集まっていた。
「さて、どこに行くかなんだが…」
「自分のいとこが、神戸学院にいるから、いけるかどうか聞いてみるよ。運が良ければ、案内してくれるかもしれないし」
「私は甲南大学に行ってみたいな…」
「わたくしは、大阪大学です」
「俺は大電通」
それぞれが、思い思いの大学の名前をあげる。
「こっちは、関学かな…」
「見事にばらばら。どうする?」
桜が集まった5人を見回しながら聞いてみる。
「そうだなー…まず、山門のいとこの話が一番最初かな。運が良ければ大学祭を待たずにいけるかもしれないし」
「分かった。じゃあ、家に帰ったら連絡をしてみるよ」
「頼んだ」
幌はそれだけ言った。
そして、それぞれの部活の部屋へと向かった。
部活が終わり、幌は家へと戻った。
「お帰りなさいー」
桜がすでにソファーに寝転がっていた。
「ただいまっと。ご飯はどうする?」
「てきとーでいいよー」
何か本を読んでいるようだ。
幌は桜の上から、その本を見た。
「大学の案内書か」
「そ、なんか宿題が出てね。大学について調べろっていうの。それで、こうやってるわけ」
「そういや、前集まった時に、テンテンバラバラに行きたい大学名を言ってたな。どこから行くんだよ」
「いいんじゃないの、それぞれが好きなところを選んだら。道は違えど心は同じってね」
桜は、晩御飯の準備を進める幌を見ながら、笑って言った。
「まあ、そういうことだな。それよりも、甲南大学って、産近甲龍の一つだろ。偏差値とかは行けるのか」
「私をなんだと思ってるの。全国偏差値上は、10本の指に入るほどの人よ。だから、大丈夫」
実際にそのような結果は出ていた。
いくつかの模試を受けていながらも、成績はほとんどぶれることはなかった。
「確かにそうだな…」
幌は、色々と考えながらも、料理を作っていっていた。