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第479巻
「この前、ちょっと安かったからね」
氷ノ山が星井出に言った。
「ちょっとって、どれくらい」
星井出が聞く。
「これぐらいだったかな」
氷ノ山が右手を開いて突き出す。
「5千円?」
「ううん、5百円」
「えっ」
全員が思わず同じことを言った。
「大丈夫なのか、それ」
「大丈夫よ。冷蔵庫機能だけだし、無線も、ボタンも、温度調節もできないけど。それに製造が10年前。ただ、今も元気に冷えてくれるわ。夏場は窓を開けておけば、熱気も気にならないし」
「まあ、気にしないのなら……」
山門が口ごもりながら言った。