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第465巻
「まずは、基本のものから」
幌は手際よく焼き始める。
「いちご、生クリームだな。それにカスタード。あとはバナナか」
ホワイトボードを横目に、クレープを10枚ほど焼く。
あっという間にいい香りがしてくるが、それで手を休めている暇はない。
「本当なら、紙か何かでくるむべきなんだろうけど、ここではそのまま食べて」
幌が手慣れたようにバナナと生クリームを合わせる。
「家でも作ってみたんだけどね。姉ちゃんは美味しいとしか言わないからさ……」
「やって、幌のは美味いに決まっとるやんか」
琴子がすでにひとくち食べてから話す。