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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
体育大会 当日編
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第46巻

第56章 体育大会 〜本番編 閉会式〜


「ただいまから、閉会式を始めます。生徒の皆さんは、運動場に開会式の隊形で集合してください」

宮司の声が、マイクを通して拡散する。

ぞろぞろと生徒たちが、激闘を終えて頭にタオルをかぶったり、色々と話しながら列を作りだした。


数分後、校長が朝礼台の上に立って話しだした。

「えー、今回の体育大会も、無事に終わることができます。これも、ひとえに保護者の皆様方のお陰で……云々カンヌン」

校長の話を聞いている人はいるが、その数はわずかであり、大半の人たちは今日の晩御飯など、どうでもいいことを考えていた。

「……ということで、家に帰るまでは体育大会であり、本校の生徒であることを忘れずに」

「気をつけ、礼」

宮司がすべてを仕切っていた。

「続いて、結果発表」

ざわついている空気が、一気に引き締まる。

「得点係長、東丸三郷」

朝礼台のわきから、その頂上へと登ってから、プリントを見た。

「それでは、結果を発表します。まず、各学年優勝の発表です。呼ばれたクラスの代表者は、前に出てきてください」

固唾をのんで見守る。

得点板がないため、試合ごとに発表される放送をもとにして得点を決める人がいるほどである。

しかし、公式な得点と自然に差異が生まれることもたびたびあり、このようにして、得点の時はすっと静かになるのだ。

「1年生学年優勝は2組です」

一気に騒がしくなる。

「やったー!」

十数秒間、それぞれが抱き合ったりして喜びを爆発させていた。

「2年生学年優勝は…」

瞬時に静まり返る。

「…1組です」

「よっしゃー!」

再び湧きあがる歓声。

「3年生学年優勝は…」

再び静寂が支配する。

「…3組です」

「学年優勝だー!」

最後の体育大会での優勝ほど、心に残るものはないだろう。

「では、各組内優勝を発表します」

ゆっくりと歓声は風と共に消えていく。

「赤組、415点で3年1組」

黄色い声が、運動場を突き抜ける。

「白組、410点で3年2組」

刹那、マイクからも声が響いてくるほどの巨大な声が、運動場を包み込んだ。


「……以上で、体育大会のすべての予定は終了しました。生徒の皆さんは、その場に座ってください」

宮司がマイクを通して声をかける。

それぞれのクラスの委員長がトロフィーや賞状を受け取り、それぞれの列の一番前で誇らしげに持っていた。

保護者席から、保護者の姿が徐々に減っていく。

その横で、先生が朝礼台に立ち今後のことを伝達していた。

「土日は休みだから、しっかりと体を休めておくように。月曜日からは、通常通りの授業だからな。それでは、それぞれのクラス席で終礼を行い、その後、クラスごとに解散。以上」

先生がそれだけ言うと、生徒全員が一斉に立ち上がり、そのままそれぞれのクラス席へと向かった。


「えー、別に言うことはない。よく頑張った」

労いの声をかけるのは、幌の担任の高啓だ。

「それで、これからの予定を簡単に話しておくと、土日は休みだ。もちろん部活はしてもかまわない。つまりは通常に戻るということだ。それで月曜日からは、通常通り授業を行うことになる。それと、来週の水曜日には学年集会があるから、体育館に集合だ。前日にも話しておくが、今のうちにも話しておく」

気の抜けた返事が、あちこちから聞こえてくる。

「では、これで解散だ。運動部と放送部、公安部、情報部は片づけが残っているから、本部に集合」

それだけ言うと、高啓はどこかへ歩いて行った。

「では、わたくし達は、コンピューター部としての片づけがありますので、先にそれを終わらさせていただきます」

「そっか、じゃあな」

「失礼いたします」

鈴は、落ち着いた対応を見せた。

そして、山門と手をつなぎながら、本部のテントへ向かった。

「じゃあ、俺たちも行くか」

「家に帰っても暇だしね〜」

氷ノ山のほうを向いて、幌が聞く。

「で、何か手伝うことってないか」

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