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第459巻
「なんや、辛気臭いかおしとるなぁ」
料理部での考え事は、すぐに遮られる。
琴子がいるからだ。
「……よぉ」
「何考えとるんや」
「今度の文化祭のメニュー」
「ああ、そっか。もうそんな時期やねんな」
琴子は幌の背中から覗き込むようにして、幌が書いているルーズリーフを眺める。
「白玉だんご、たこ焼き、クレープ、焼きそば、餃子……」
いくらか上がっているようで、それを琴子は全部読み上げていく。
「どれにしようかと悩んでてね。場所の都合もあるから、1つに、せいぜい似たようなの2つに絞らないと」
去年のことは、あえて言わない。
それで琴子がどう思うかを考えてのことだ。