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第454巻
「丸くなった?」
何を言っているのか、鈴は分からないようだ。
「だってさ、最初はお嬢様っていう感じがしていたのに、今じゃみんなと打ち解けてるしな」
「わたくしは、入学当初から変わってないよ」
両手を使って、鈴は山門の話を否定しようとする。
「ほら、敬語だって使わなくなったし」
さらにそういわれると、鈴もなにかでさらに否定しようとしていたが、あきらめたようだ。
「さ、勉強、勉強」
何も言い返すのではなくて、テレビの電源を切り、シャーペンを手にした。
「ま、それも好きなんだけどな」
さらっと山門が言った言葉は、鈴は恥ずかしがらせるのには十分だった。