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第443巻
校舎の影まで来ると、誰かがいる。
「誰だ」
教師がそれに真っ先に気付き、声をかける。
がさがさと音を立て、ダッシュで2人ほど駆けていく。
男女のペアだ。
「人目を忍んで、ねぇ」
走り抜けた後、氷ノ山がつぶやいた。
「何もなし、だな」
星井出が二人がいたあたりを探すが、特に煙草とかは見つからない。
「大丈夫そうだし、これで引き上げるとしようか」
教師が言うと、ふたりはハイと返事をした。
帰りは別の道を通っていったが、他校の生徒はおろか、自校の生徒にも出会わずに体育大会の会場へと戻ってきた。