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女子高と男子校  作者: 尚文産商堂
体育大会 当日編
44/688

第44巻

第54章 体育大会 〜本番編 午後の部直前〜


幌たちが下へ降りると、すでにまばらながらも集まっていた。

「じゃあ、私たちは別のところに行かないとけないから」

桜たちのクラスはすぐ横ではあったが、違うことに変わりはない。

「また、放課後だな」

幌が桜たちにそう声をかけてから、クラスの席に戻った。


「今の得点は気にしたらいけない。これからの勢い次第で、いくらでも逆転の機会はあるんだから」

雅が幌のすぐ横に来て言った。

「今更遅いと思う…」

幌は何か色々と考えているようだが、あっさりとあきらめた。


本部のところでは、放送部、公安部、得点係と担当教員が、午後の部について打て合わせをしていた。

「午後は、200m競争・200mリレー・2人3脚走・スウェーデンリレーのそれぞれの決勝。生徒会種目・棒引き・綱引きをそれぞれ行うことになる。順番は、決勝以外のを先に行って、後は言った順だ」

先生はプリントを見ながら言った。

「それぞれの担当の2種目前になったら、ここに集まってくるようにな。そうでもしないと間にあわん」

「分かりましたー」

それだけ言うと、放送部と公安部だけが残って、他の人たちはそれぞれのクラスへ戻っていった。


「ふぁ〜〜」

文版はあくびをした。

のんびりと運動場を見ている。

「どうしたの」

すぐ横に座っていた豆見が、文版に聞いてみる。

「体育大会がこんなに大変なものだとは思わなかったから、ちょっと疲れちゃってね」

「大丈夫だよ。午後の部が終わりさえすれば、後は機材の撤収だけだろ。それに、そのあとは文化祭まで間があるじゃないか」

宮司が文版に言う。

「そうだねー。じゃあ、後半もがんばりますか!」

そう言いながら、台本として使っているプリントを見た。

「……これも、私たちの後輩たちが読むんだろうね」

「こんな字で読めるかよ。波ダッシュが延々と連なっているようにしか見えないし」

文版が持っているプリントには、3人と先生がメモったものが書かれていた。

「パソコンに打ち込んで、読めるように変えるさ。来年も俺たちはいるわけだしな」

宮司はほとんど気にしていないような顔で言いきった。

「でもさ、来年になったら読めなくなるかもよ」

豆見が突っ込むと、さらっと言い返す。

「1週間以内にする予定の反省会の時に、ついでに作れば大丈夫。その頃なら、まだ何を書いたかは、文字を見れば思い出せるだろうしな」

そう言って、午前の部の時に書いたメモの数々を見直していた。


いくばくかの時が過ぎて、文版がまだプリントを見直している時、すぐ横に座っていた先生が言ってきた。

「おい、これ放送してくれ」

「分かりました」

文版に渡されたのは、1枚のメモだった。

「連絡します。生徒の皆さんは、それぞれのクラスへ戻り、点呼を受けてください。繰り返します。生徒の皆さんは、それぞれのクラスへ戻り、点呼を受けてください」

マイクを置くと、先生が文版たちに言った。

「お前たちには、まだやってもらいたいことがあるからちょっと残っておいてくれ。それぞれの担任にはちゃんと了解をとってある」

「ありがとうございます。それで…」

文版が何か言おうとしたところを、先生が遮る。

「その時になったらわかるから、今は何も言うな。分かったな」

「分かりました」

それだけ言うと、3人が集まっていろいろと話し合った。


幌たちのところには、担任の高啓が点呼を取りに行った。

「全員居るか」

委員長はあっさりと答える。

「全員居ます」

もちろん、放送部の宮司は、あらかじめ人数には入れられていない。

このような時には、放送部は別のところにいるのが多いから、もともと数えないほうがいいのだ。

「じゃあ、これから午後の部に入るが、最初に言っておく。今、このクラスの得点は56点。男子校の学年3位。総合学年4位にある。これから、もっと頑張れば学年優勝を狙える範囲に入る。さあ、頑張るぞー!」

「エイエイオー!」

鬨の声をあげ、一気に盛り上がってきた。


こうして、後半戦が始まった。

決勝が目白押しの後半に一番盛り上がるのは、この高校の伝統だった。

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