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第438巻
「1年ぶりって言っても、たまに来ているから、あまり実感ないね」
「まあね」
いなくなっていた二人は、校舎の屋上にいた。
宮司と文版は、そういい合いながら空を眺めている。
雲はいなくなっていた。
お昼ということもあって、まだ太陽は高く上がっている。
「……いいのか」
「なにが?」
宮司が文版に聞いた。
「みんなと一緒じゃなくてってさ」
「そのあたり、察しなさいよ」
文版の言葉に、宮司が首をかしげる。
「あんたと一緒にいたいってことだから」
それで文版が、柵のところにいた宮司に、一歩近づく。