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第432巻
「それにしても、先輩、よく来れましたね」
「まぁね」
坂上は川上に話した。
「大学はどうなんですか」
「楽しいよ」
坂上は笑って言った。
それから、川上の頭を、ぽんぽんとなでつつも、さらに続けて言う。
「ちょっと離れてはいるけれど、ちゃんと心は繋がってるって分かったしね」
「何の話ですか」
坂上の言葉をイマイチ理解していない川上が話す。
遠くで、音楽が聞こえてくる。
入場行進がいよいよ始まるようだ。
「ううん、大丈夫」
なんでもないよ。と坂上は静かに言った。