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第431巻
「やっほ」
声をかけたのは、いないはずの坂上その人であった。
「あれっ。どうしてここにいるんですか」
「そりゃ、彼氏の体育大会だからね。特に活躍はしないだろうけど」
「ひどいですよ、それ」
そう言いつつも、川上は笑っていた。
3年連続での保健係、何もすることがないことが仕事だ。
でも、ここを離れることはほとんどない。
「すぐ後ろにいるんだったら、テントから出てもいいよ」
先生が何か察したようで、川上たちに言った。
後輩も何かうなづいている。
「それでは、失礼します」
川上が先生に告げてから、テントすぐ後ろに下がった。