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第430巻
天気がいい。
ずっと遠く、宇宙の果てまで見えそうな、真っ青な色が天球を埋め尽くしている。
ところどころに、ふわりぷかりと白い綿の島ができていた。
きれいだ、そう素直に思えるほどの晴天だ。
3年連続保健係である川上昇太郎は、3年連続で入場行進を本部席から眺めていた。
今年からは先輩で彼女である坂上祥子はいない。
「ふぅ」
きっと今年も大きな事故無く過ぎていくだろうと思いつつ、空を相変わらず見上げていた。
「先輩、この救急箱、どこに置きますか」
「ああ、先生の横においていてくれ」
川上が後輩にそう指示をしていると、誰かが近づいてきた。