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第425巻
そして体育大会の前日。
放送部は、今年も設営をしていた。
「そっちのコード持っててくれる?」
「あ、はい」
1年生の神川歩美が、文版の指示に従って、コードを設置していく。
机の下にひいたり、壁際のところの端子につなげたりと忙しそうに動き回っている。
その横から、誰かがやってきた。
「あ、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
歩美は三つ子で、真ん中で兄の真也と姉の香純が歩いてきていた。
ちらっと文版を歩美が見ると、いっといでとにこやかに言われた。
「ありがとうございます」
歩美は礼を言ってから、二人のところへと向かった。